原島博先生、瑞宝中綬章ご受章のお知らせ

― 顔学の創始者として、俯瞰知の先に拓かれた地平に敬意をこめて ―

このたび、日本顔学会の設立発起人代表であり、東京大学名誉教授の原島博先生が、令和7年春の叙勲において「瑞宝中綬章（ずいほうちゅうじゅしょう）」を受章されました。

日本顔学会会員一同、心よりお祝い申し上げます。

叙勲は、国家または公共に対して顕著な功績を挙げた方々に、その功労を称えて授与される栄誉ある制度です。なかでも瑞宝中綬章は、教育・研究・行政などの分野において、長年にわたり社会的貢献を果たした方に授与される勲章であり、大学教授をはじめとする学術分野の先導者が多く受章されています。

原島先生は、情報工学の分野において卓越した研究業績を築かれたのみならず、工学の視野を人間理解へと拡張し、「顔は情報である」「顔は関係である」とする独自の視点から、人と社会をつなぐ“顔”の本質に迫る学術的探究を切り開いてこられました。

そうした思想のもと、「顔」を中心に据えた新たな学際的領域の必要性を見出し、1995年、学術・芸術・工学を横断する場として我らが日本顔学会（Japanese Academy of Facial Studies）創設の旗手としてご尽力されました。

先生が唱える「俯瞰知（ふかんち）」とは、個別の専門知を越えて全体を見わたし、多様な知を結びつける知性のあり方です。この俯瞰知の理念こそ、顔学という新しい知のフィールドを育て上げる原動力となりました。

このたびのご受章は、原島先生の長年にわたる知的営為と社会への貢献が、国の内外から高く評価された結果であると同時に、顔という主題が未来に向けて持つ可能性への期待をも象徴するものといえるでしょう。

改めまして、原島博先生のご受章を、会員一同、心よりお祝い申し上げますとともに、今後ますますのご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。

日本顔学会 会員一同