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第74回顔学オンラインサロン開催報告

2025年12月9日(火)

「日本における肖像画の視線―なぜこちらを向かないのか?」

話題提供:岩井茂樹氏(大阪大学日本語日本文化教育センター)


モナリザのように西洋画の人物画には、視線を私たちの方に向けてくるものが多く見られるが、それに対し、日本画の場合はどうでしょう?というテーマで、ご講演いただきました。とりわけ明治時代以前の浮世絵を含めた日本画の多くは、視線を私たちに向けず、顔も正面を向いていない作品が多いということです。その理由としては、

・「みる」ということは男女が関係を結ぶという意味がある

・視線を合わせることでの取り込まれるという恐怖がある

・目に注目が集まりすぎる

等が考えられるとのことです。


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数は少ないが、以下のような視線をこちらに向けている作品もあるとのことで、これらの作品について、画像を交えながら詳細な解説をしていただきました。

①戦国武将の肖像画(菩提寺に行かなければ見ることのできない無名の作品等)

②女性の幽霊画

③美人画(祇園井特の作品に多い)

④役者絵(歌川派の版画)


絵の中の人物が目を逸らすことにより、絵の中だけでの物語を続けることができるが、視線を見る人に合わせることで、見た人を物語の中に引き込んでしまう効果があるとのことです(上記①②は恨みを表現するため)。


絵画だけではなく、玩具や広告用のキャラクターなどでも、海外では視線をはっきりとこちらに向けているものが多いが、日本では視線が曖昧なものが多いという事例も紹介していただきました。


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その後の質疑応答では、いろいろな分野の参加者の方々からの多くの質問があり、盛況で有意義なオンラインサロンとなりました。


記:斎藤忍

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