化粧文化研究者ネットワーク 第74回研究会報告
- 2 日前
- 読了時間: 3分
更新日:1 日前
テーマ:Shiseido Beauty Park 誕生ストーリー(講演)と施設見学
講師:中西 裕子(資生堂グローバルイノベーションセンター ブランド価値開発研究所 SBP価値共創室室長)
日時:2026年7月11日 (土) 14時00~16時50分
会場:Shiseido Beauty Park 2F(https://shiseidobeautypark.shiseido.com/)
形式:対面とオンラインのハイブリッド

「資生堂グローバルイノベーションセンター」の1、2階が「Shiseido Beauty Park」にリニューアルされて約1年半が過ぎた。そこで、今回は新しくなった施設の見学に合わせて、刷新を担当された中西裕子氏に、リニューアルに関するお話をうかがった。
2025年1月のリニューアルでは、コロナ禍以降、人々の美に対する関心が、肌だけではなく心身の健康の領域にまで広がったことをふまえ、「肌・身体・心のつながり」をキーワードに大幅な刷新が行われた。
施設の1階は、最先端のサイエンスを社会実装した5つのラボから構成されている。
(詳細は上記の公式HP参照)
なかでも注目したいのは「Shiseido Beauty Diagnosis Lab」が提供する、ここでしか体験できない”美の検診”サービス(3時間3万円 予約制)である。
その内容は、角層タンパク質の測定、歩容美測定、香りの感じ方など、13種類に及ぶ肌・身体・心の測定から未来の顔を予測。結果について科学的根拠に基づいたアドバイスを聞き、それぞれに合わせたスキントリートメントなどを受けることができるというもの。
中西氏によれば、単なる肌測定ではないこの“美の検診”は、体験者の多数を占める20~30代女性の間でも、満足度において高い評価を得ているという。
2025年の実績は、施設の来場者数が対計画比で150%、美の検診においては対計画比133%と好調な滑り出しをみせている。資生堂では、2030年までにさらにデータを蓄積、「肌・身体・心のつながり」を解明していくビジョンを描いている。

そのほか、ここにしかないビューティープロダクツが展示販売されている「fibona Lab」も興味深いラボである。研究所が上市した商品は、香りと質感に特徴がある「万物軟香」、パウダー状の香水「香肌晶」、セカンドスキンの技術を応用した「スキンアクセサリー」、美容液など。SNSなどで評判になり、あっという間に売り切れる商品もあるそうだ。
施設見学で見た商品のうち、洗うタイプの美容液や、グリシルグリシン(整肌保湿成分)を高濃度配合した美容液は既に完売となっていた。
中西氏は、ラボで得た成果を化粧品事業とどうつなげていくかが今後の課題であり、今はそのための方策を模索しているところだという。
講演後の質疑応答の場では、根強い「若さ=美」という意識をどう考えるか、シミ・シワなど老化は直すべきものなのか、美容医療という選択肢について、多様性とルッキズムの問題など、美しさのあり方について、さまざまな視点から参加者との意見交換が行われた。この中で、中西氏は「美しさとは肌と心が調和できている状態であり、美しさの種は誰の中にも備わっている」という考えを示され、「よりよく生きるために何ができるかを考えていきたい」と締めくくられた。

なお、最後に見学した2階には、今年1月に、創業以来150年の歴史をたどる「Shiseido Art & Heritage Passage」が新設されていた。5つの展示からなる「Origin」ゾーンに、昨年11月に閉館した静岡県掛川市の資生堂企業資料館の資料の一部が展示されている。壁一面に並んだ歴代の化粧品の中には、それぞれの世代の見学者にとってなじみのある商品もあり、資生堂の歴史や商品デザインの変遷を、アートの視点から振り返ることができた。

見学終了後の懇親会では、1Fの「Kitchen Lab」から、"BEAUTY YAKUZEN(ビューティ薬膳)”の夏メニューをケータリング。スパイスを使った夏野菜や肉・魚料理、薬膳茶などのオリジナルメニューを満喫した。
今回の研究会は、講演あり見学ありと、盛りだくさんで中身の濃いものだった。消費者の知識が増え、化粧品メーカーの研究が注目されるようになった今、ここで蓄積された知見が、将来どんな商品に活用されるのか、先々が楽しみである。(山村博美)
.png)



コメント