2024年12月3日(火)
「観察者の性格特性と眼球運動が顔の印象推定に与える影響」
話題提供者:徐 貺哲氏(弘前大学教育推進機構助教・日本顔学会若手交流会)
12月のオンラインサロンでは、日本顔学会若手交流会を代表して、弘前大学の徐貺哲先生にご講演いただきました。徐先生は性格特性と眼球運動に注目しながら、顔の印象評定に関する多角的な研究を進めておられます。
今回のオンラインサロンでは、これまでの研究成果を時間いっぱいにわたって詳しくご紹介いただきました。たとえば、刺激に対する印象評定の際、評定者の性格特性によって注目する顔の部位が異なること(例えば、外向性が高い人は目に着目するなど)を明らかにした研究や、視線誘導によって注視対象の印象が良くなる現象に関する研究が特に印象的でした。これらの成果は、評定者の性格特性が眼球運動を介して他者の印象評定に影響を与えることを示しています。
「目は口ほどにものをいう」という表現が示すように、日本人は文化的に顔の中でも目を重要なコミュニケーションツールと捉えています。この点から、アイメイクで目を強調したり、マスクを着けた際に「マスク美人」と評されたりする背景には、私たちが日常的に目と魅力の関係を意識し、他者の目線を自分の目に向ける行動が根付いていることが伺えます。
本報告で徐先生の研究内容すべてに触れることは難しいですが、参加者それぞれが示唆に富む知見を得られたのではないかと思います。今後の研究展望として、徐先生は眼球運動を軸に、人の認知や特性表現についてさらなる検討を進めたいと語っておられました。視線からさらに目の動きへと焦点を広げることで、新たな研究の展開が期待されます。
最後になりますが、貴重なお話をいただいた徐先生に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
記:木戸彩恵
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