
2025年2月9日(日)に第35回美人画研究会を開催いたしました。
昨年は<過去の日本人の顔タイプや美人の概念>を縄文顔・弥生顔に照らして研究してまいりましたが、AIの活用が一般化している現在ですので、今回は未来に思いを馳せて<未来の美人顔・美人画>をテーマにいたしました。
前半は3本の研究発表、後半は絵を描くメンバーによる作品発表という形式で、17名の参加者で和気あいあいと、活発な意見交換をしながら有意義な研究会を行うことができました。
<第一部・研究発表>
①「生成AI(CG)は、アナログの美人画を超えられるか?」 斎藤忍 CG作家、講師
※Yes, Noのそれぞれのケースをシミュレーション
②「未来の美人はSF映画などでどのように描かれてきたか」 松永伸子 美人画研究作家
③「未来の環境に対応可能な衣服とは」 松永伸子 美人画研究作家
<第二部・作品発表>
宇田川のり子、井手晴海、河合直樹、松永伸子、斎藤忍、東観崎繚、城戸崎雅崇、(畑江麻里)
発表の詳細はこちらをご覧ください
顔学会会員で、美人画研究会のクリエイターである東観崎繚さんと、顔学会副会長の今井健雄さんよりいただいた感想を以下に掲載させていただきます。
研究発表-①
●Yes,Noの論理が大変おもしろかった。それぞれの価値観、視点がうなずけると同時に、難しい問題提起だと感じた。(東観崎)
●生成AI はディスプレイで鑑賞する場合マチエールの効果がないということだが、動画であれば「マチエール+身体動揺」を再現可能ではないだろうか。
また、AIが人間と同等以上の創作能力を備えれば、第三者からはアナログを超えたと考えられるのではないだろうか。ただ、AIは見る者の好みを反映できるのかという疑問が残り、アナログの絵画のように誰が描いたか一目でわかるような情緒はなくなるだろう。(今井)
研究発表-②
●人工知能や宇宙人が様々な描かれ方をしてきたことを再確認した。時代とともにリアリティが増している過程が興味深い。(東観崎)
●文明が始まってからの数千年、人間の顔立ちはほとんど変化していないだろうか?環境変化等により、今後の数千年で顔の形状に大きな変化が起きる可能性もあるかもしれない。また、もし地球以外の天体への移住が実現すると考えるととても興味深い。(今井)
研究発表-③
地球環境の変化が改めて深刻になっていると感じた。衣服と身体の変化(進化?)、身に着ける物の技術的進化がとにかく早い!今後どのような衣服や装身具が出てくるのかとても楽しみ。(東観崎)
①は他に、「アナログはマチエールを感じられ偶然性が魅力であるが、生成AIやCGにはスピード感とバラエティの豊かさがある」「どちらが上かを比べること自体が不毛である」「生成AI とアナログの違いがよく分かった」というご意見・感想もいただきました。また3Dプリンターによるレンブラントプロジェクトなどで、アナログ絵画のマチエールがかなり再現できるようになってきたという声もありました。
②は他に、「SFのに登場する美人は、完璧すぎて気味が悪いという印象を与えるために美しい」「説明した美人は人間ばなれしていると思う」「今後もSF映画に期待している」というご意見を、③は他に、「解説の未来素材は的確で既に業務用として実用化しているが、技術だけでなく価格やデザインの自由度も大切」「衣服にマッチした美しさは普遍的だと思える」というご意見・感想もいただきました。
第2部の作品発表では、「未来も数千年では美人顔の観念は変わらない」という意見のクリエイターが多かったのですが、それぞれ想像力を働かせて様々な美人画を披露しました。参加者の方からは、「美しさは変わらなくても、未来の技術進歩や環境変化を考えて明らかに現在とは違う先進的な美人画を描いている」「それぞれ個性があって面白い」という感想をいただきました。
※クリエイターごとの作品はこちらにも掲載しています➡Creative Bijinga-Club - creative-bijinga-club ページ!
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